セカミタ
アニメ・ゲーム

海外「こんな経営者はめったにいない」岩田聡氏が語った“解雇と創造性”の考え方が再び注目

2026-07-24
PHOTO ▸ 書籍とパソコンのそばに置かれたゲームコントローラー (Photo by Alexandre Juca on Unsplash)

2013年の任天堂株主総会で、当時の岩田聡社長は人員削減について「短期的には財務上の成果が出るかもしれないが、解雇を恐れる社員が世界中の人々を驚かせるソフトを作れるとは思わない」と語りました。

それから13年後の2026年7月、この発言が海外ゲームメディアで改めて紹介され、複数のRedditコミュニティで議論されています。背景にあるのは、現在のテクノロジー・ゲーム業界で相次いでいる大規模なレイオフです。

この記事では、任天堂の公式株主総会Q&Aに残る発言と、解雇後の士気、信頼、品質、社内知識について寄せられた個人の体験談を分けながら紹介します。

今回の編集部チャット
セカ姉27歳・調査・検証担当
セカ君18歳・大学1年生
編集長42歳・編集長
セカ姉

短期の財務数字が良くなっても、次の作品を作る力まで良くなるとは限らない。

セカ君

解雇される不安が、提案、挑戦、知識共有をどう変えるかという話ですね。

編集長

岩田氏の2013年の発言と、2026年に寄せられた体験談は時期も立場も異なる。

セカ姉

それでも、士気が戻らない、転職を探す、社内知識が失われるという経験が言葉を具体化している。

セカ君

雇用法制の違いだけでは、長期的な創造性の論点は消えないという反応もありました。

編集長

人物への敬意と、経営判断の因果を分けながら議論を見よう。

海外の反応

13件のコメント|海外掲示板より翻訳

数字の外側を見る思考と、双方向の忠誠、雇用不安

表計算上の数字だけを見るのではなく、一つの判断が全体へ及ぼす影響まで考える。これが批判的思考というものだ。
突然解雇されない会社なら、仕事に打ち込み、普段以上に努力しようという気持ちにもなりやすい。「会社への忠誠は双方向だ」とよく言うが、本当に会社が社員へ忠誠を示すなら、こちらもそれに応えようとするのが自然だと思う。
原文

I'm not saying it's right, but I will say I'm a lot more likely to work those long hours and be dedicated to my work for a company that isn't going to shitcan me at a moment's notice. People (including me) love to say "loyalty goes both ways" when talking about why you shouldn't be loyal to a company because they will screw you over as soon as it benefits them. But if that company is, in fact, showing me some ACTUAL loyalty, then I'd be pretty hypocritical not to at least try to show it back.

このコメントの英語表現を解説 →
実際の解雇だけではない。不安や疑念を広げ、雇用が保証されていない状態を作るだけでも、価値ある社員が競合他社へ引き抜かれていく。

解雇を経験した人が語る、士気・品質・知識の損失

私はゲーム開発者ではなく研究開発職だが、6年間で二度解雇された。毎回すぐに次の仕事は見つかったものの、今では雇用主を心から信頼し、繁忙期に普段以上の努力をすることが難しくなった。
私の経験では、解雇後に士気は完全には戻らず、誰もが非常に慎重になった。社員は目立たないように振る舞い、経営陣の判断へ異議を唱えず、良い印象を与えることばかり考えるようになる。
2か月前にマーケティングチームの60%が解雇され、さらに削減される可能性も示された。残った社員は上司を満足させる最低限の仕事をしながら転職先を探している。企画は延期・中止され、成果物の品質も落ちたが、財務諸表だけは改善した。
最近の人員削減でひどく燃え尽き、おそらく以前の半分ほどしか成果を出せなくなった。会社は膨大な社内知識と社員の忠誠心を失った。15年以上解雇をしてこなかった会社だっただけに、その影響は大きい。
会社を離れられる人は皆、離れていく。その結果、仕事が回らなくなり、さらに解雇が増える。

岩田氏への敬意と、慎重さが守った組織・世代継承

任天堂ファンからも尊敬されていた。高い地位にいる経営者の名前を聞いて、好意的な気持ちになることは滅多にない。彼の訃報を知った朝のことは忘れられない。
レジー・フィサメィ氏の本を読むと、岩田氏はかなり慎重な経営者に見える。しかし、その慎重さは任天堂の社員と会社そのものを守るためだったことが分かる。もっと多くの経営者が彼のようであればと思う。
社員を絶えず入れ替え、同じ道を何度も歩き直すより、世代を超えた才能を育て、その人材が次の世代を育成する方が重要なのだと思う。

法制度の違いという留保と、心に残る自己紹介

日本と欧米の法制度の違いから、岩田氏たちは簡単に開発者を解雇できなかっただけだと指摘する人もいる。しかし、それでこの言葉の賢明さが失われるわけではない。法的な制約の有無にかかわらず、内容自体は正しい。
彼が尊敬されていたのは間違いない。私が好きな言葉は、「名刺の上では社長、頭の中ではゲーム開発者、心の中ではゲーマー」だ。
ひとこと英語:loyalty goes both ways
↑ 元のコメントを見る
直訳
忠誠心は両方向へ進む
今回の意味
忠誠や信頼は社員と会社の双方が示すべきだ
解説
一方だけに献身を求めるのではなく、関係する両者に同じ責任があると強調する表現です。
使用例
Trust goes both ways in a strong team.(強いチームでは信頼は双方向に成り立つ)

編集部のデータ帳

2013年の発言と2026年の議論を結ぶ論点

2013年の発言と2026年の議論を結ぶ論点
記事内で確認できる内容
短期人員削減で財務結果が改善する可能性
中期雇用不安による士気低下と提案の萎縮
長期社内知識、技術、文化、世代継承の損失
社員側の体験信頼低下、転職活動、品質低下、燃え尽き
制度上の留保日本と欧米では解雇法制・雇用慣行が異なる
評価上の留保掲載体験談は個別例であり、全企業へ一般化できない

対象期間: 2013年の発言・2026年7月の再議論

定義: 岩田聡氏の公式発言と、後年のユーザー体験談を同一の証拠にせず整理したものです。

出典: 任天堂第73期定時株主総会Q&A・Reddit掲載コメント

セカ君

解雇後に残る人も、安心して以前と同じように働けるとは限らないことが伝わりました。

セカ姉

最低限だけ働き転職先を探す状態では、表計算に出にくい損失が積み上がる。

編集長

ただし、すべての人員削減が同じ結果を生む、解雇しなければ必ず創造性が高まる、とは断定できない。

セカ君

法制度の違いを考慮しても、恐怖が成果へ与える影響を問う言葉の価値は残ります。

セカ姉

人材を世代で育て、経験を次へ渡すことも会社の資産なんだね。

編集長

短期利益と長期能力を同じ表に載せることが、岩田氏の問いを現在へ生かす方法だ。

編集長の総括

岩田氏の発言が今も響く理由は、解雇を経験した人々が、士気の低下、提案の萎縮、転職活動、成果物の品質低下、社内知識の喪失を具体的に語ったからでしょう。人件費削減は財務諸表へ早く反映されますが、組織の信頼や技術継承の損失は測定しにくく、後から効いてきます。ただし、掲載された体験談は個別の職場で起きた例で、すべての解雇や企業へ同じ因果を一般化することはできません。また、日本の解雇法制や雇用慣行が判断へ影響したという留保も必要です。それでも、『法的に難しいから解雇しなかった』だけでは、恐怖の中で創造性を求める矛盾への問いは消えません。短期の節約と、経験・信頼・挑戦する余地を同じ経営判断の中で評価する必要があります。