セカミタ
文化・生活

海外「地元の経済を応援しよう」日本のキッコーマン、米国で50年以上続くつながり

2026-10-30

2018年、米国のジェリー・バローさんが日本を訪れると、成田空港で待っていたのは、かつて隣に住んでいた友人でした。キッコーマンの駐在員の家族としてウィスコンシン州に暮らした、ナルミ・イケザワさんです。1979年に親しくなった2人は、帰国を挟んでも手紙を交わし、約40年後に日本で再会しました。[1]

この縁が生まれるきっかけになったのが、ウォルワースのしょうゆ工場でした。出荷が始まったのは1973年6月。日本から輸出するだけでなく、米国で造る拠点ができたのです。2026年3月末には、この工場で218人が働いていると会社は公表しています。[2]

2026年には、同じ州のジェファーソンにも新しい工場が加わりました。米国での生産は、半世紀を超えて続いています。しょうゆを造る日本企業は、この土地の人たちとどんな関係を築いてきたのでしょうか。現地メディアがたどった交流と、ネットに書かれた暮らしの中での使い方を紹介します。[3]

ウォルワースのキッコーマン工場の資料写真。白い建物の前に、英語で来訪者を迎える看板が立っている
写真引用:Kikkoman Foods(ウォルワース工場の資料写真)

引用した写真の詳細

米国生産の拠点となったウォルワース工場の資料写真。Eaterの2023年12月8日付記事に掲載。撮影年は確定しておらず、現在の工場外観として扱わない。

Kikkoman Foods(ウォルワース工場の資料写真) / Eater掲載

の記事掲載写真

元の取材記事を開く
ウォルワース工場の50周年を取材した地元局の映像(FOX6/2023年・英語) 元動画

動画の公開日・出典

Kikkoman soy sauce; Wisconsin-made for 50 years | FOX6 News Milwaukee

FOX6 News Milwaukee

公開

元記事・動画を開く

現地メディアが伝えた声

2023年、地元誌At The Lakeは、ジェリーさんとナルミさんの交流をたどっています。2人には生まれた時期の近い娘がいて、庭で一緒に過ごしたり、湖畔へ出かけたりしていました。ナルミさんの家で昼食を取り、日本の食べ物や習慣に触れることもあったといいます。[1]

2018年、日本で再会したジェリー・バローさんとナルミ・イケザワさん、その家族の集合写真。Welcome Jerreと書かれた飾りも写っている
写真引用:ジェリー・バローさん提供

引用した写真の詳細

2018年、日本で再会した2人と家族。元記事の説明では、ジェリーさんは左から3人目、ナルミさんは中央手前。

ジェリー・バローさん提供 / At The Lake Magazine

の記事掲載写真

元の取材記事を開く
ジェリー・バローさん近隣住民

ジェリー・バローさんの取材情報

ウィリアムズベイの住民Jerre Burrough。キッコーマン駐在員の家族と隣人になった体験を、At The Lakeが2023年に取材

の報道

取材の出典へ

私たちはもう長いこと、とてもいい友人なんです。(和訳・抜粋)

1982年に日本へ戻ったナルミさんも、米国で暮らした当時の周囲との関係を振り返っていました。

ナルミ・イケザワさん元駐在員の家族

ナルミ・イケザワさんの取材情報

日本人駐在員の家族Narumi Ikezawa。1977〜1982年に現地で生活。ジェリーさんとは別人で、日本への帰国後の回想

の報道

取材の出典へ

若い人からお年寄りまで、友人たちに囲まれていました。(和訳・抜粋)

アイオワ州の家族の飲食店で育ったアンドリュー・ペイさんも、Eaterの2023年の取材に、こう話していました。[5]

アンドリュー・ペイさん家族の店で育った人

アンドリュー・ペイさんの取材情報

家族の飲食店でキッコーマンに親しんだAndrew Pei。Eaterの2023年12月8日付記事に登場。ウィスコンシンの住民・工場従業員と断定しない

の報道

取材の出典へ

食事も、家族も、趣味も、家の用事も、何もかも。キッコーマンは、ずっと自分の暮らしの中にあったんです。(和訳・抜粋)

こうした交流が生まれたウィスコンシン州では、2026年9月18日、ジェファーソン工場の開業式が行われました。会社の報告によると、式典では地元の高校生が合唱し、自治体関係者や取引先、地域の人たちも参加しています。[3]

2026年9月のジェファーソン工場の開業式。工場内に設けられた舞台の前に、出席者が座っている
写真引用:キッコーマン(2026年の新工場開業式)

引用した写真の詳細

キッコーマンが2026年10月23日の公式報告に掲載した、同年9月18日のジェファーソン工場開業式の写真。上で引用した2023年の取材場面や、ネット投稿者の写真ではない。撮影者の個人名は記載なし。

キッコーマン(2026年の新工場開業式)

の記事掲載写真

元の取材記事を開く

海外ネットの反応

まずは、工場への投資計画が話題になった2024年4〜5月の、r/wisconsinとr/madisonwiの投稿から。以下、和訳・一部抜粋で紹介します。

米国で売っているキッコーマンの商品が、ここで造られていたなんて知らなかった!

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/wisconsin

元スレッドを開く

店のあの変わった小さな容器や、家のボトルに入っていたしょうゆが、ほとんど地元で造られていたんだと思うと、今でもちょっと驚く。子どもの頃は、どこか異国っぽいものだから、きっと日本から来ているんだと当たり前に思ってた。

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/madisonwi

元スレッドを開く

これからはキッコーマンを買うよ! 地元の経済を応援しよう。

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/wisconsin

元スレッドを開く

この6年間、ずっとキッコーマンを使ってる。種類もいろいろあるよ。(抜粋)

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/wisconsin

元スレッドを開く

キッコーマンの大ファンなんだけど、ここで造ってるなんて知らなかった! 会社のグッズ目当てで、そこで仕事を探したくなったよ❤️

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/madisonwi

元スレッドを開く

続いて、5米ガロン(約19リットル)入りのしょうゆの写真が「しょうゆ一生分」として投稿された、2024年1月のr/Costcoのスレッドです。

しょうゆでいうハインツだね。どこでもよく見かける定番で、もっと高級なものや違うタイプもあるよ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

減塩タイプは悪くないと思う。でも、普通のタイプは自分には塩辛すぎるんだ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

自分は大きなボトルのキッコーマンを買ってる。他のブランドは、そこまでおいしいと思わないんだ。(抜粋)

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

ハワイ料理の店で働いていたけど、牛肉や鶏肉のバーベキュー用の漬けだれを作るのに、このバケツを週に1〜2個使ってたよ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

卓上用は小さなハローキティのしょうゆ入れ、料理用は中くらいの容器。イベント用に40ポンド(約18キロ)の鶏肉を料理するときは、5ガロン入りの出番だよ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

うちはこれを買って、近所に住む家族の3世帯で分けて、小さい容器に詰め替えてるんだ。みんなよく料理をするし、チャリティーイベントなどで大量に作ることも多い。(抜粋)

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

「一生分」ってほどじゃないよ。麺料理に添えるしょうゆ漬け卵を作るから、このバケツでもそう長くはもたない。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

うちの11歳の娘なら、これも数か月で使い切りそう。いつもチャーハンやすしを作ってるんだ。ちなみに、うちはアジア系ではないよ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

うちの家族は30年前に中華料理店をやっていたんだけど、おじは今でも、当時のキッコーマンのプラスチック製バケツを洗車用に使ってるんだ。

コメントの投稿日・出典

スレッド公開:2024年1月17日。個別コメントの正確な投稿日は未確認。

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

カリフォルニア北部とウィスコンシンで醸造されてるんだよね! いつか工場見学に行ってみたい。自分にとっては、聖地巡礼みたいなものなんだ。

コメントの投稿日・出典

の投稿

Reddit · r/Costco

元スレッドを開く

管理人の見方

今回、目が留まったのは「地元の経済を応援しよう」という言葉でした。日本のメーカーの商品を選ぶことが、投稿者には自分の地域を支える買い物になっている。日本のブランドとして知っている私たちとは、少し違う近さを感じます。

工場で働く人だけでなく、駐在員の家族が暮らし、隣人と子育てをし、帰国してからも手紙が届く。そうした関係は、出荷量や工場の数だけでは見えてきません。地域への進出が人の暮らしにどう残ったかを考えるとき、ジェリーさんたちの交流は、その一つの姿を教えてくれる気がしました。

もちろん、味の好みも、家庭で使う量も同じではありません。それでも、バーベキューの漬けだれや家族の料理の話を読んでいると、しょうゆがそれぞれの台所に居場所を見つけてきたことが伝わります。海外に工場が増えたというニュースを、そこで暮らす人の食卓や顔の見える付き合いまで含めて読めるのが、この題材の面白さだと感じました。

ひとこと英語:from now on

from now on は「これからは」「今後は」という意味です。採用したコメントの I will buy Kikkoman from now on! は、「これからはキッコーマンを買うよ!」という意思を表しています。[6]

出典・取材とネット投稿について

現地メディアが取材した人の発言と、匿名のネット投稿を分けて掲載しています。回想や各投稿は、それぞれの時点の個人的な体験・意見です。2024年のネット投稿を、2026年の新工場を訪れた人の感想として扱っていません。

[1] At The Lake Magazine「When East Meets West: 50 Years of Kikkoman Foods Inc.」。Anne Morrissy執筆、2023年8月21日初出。ページには2026年4月17日の表記もありますが、本文は2023年の50周年特集として扱っています。ナルミさんは日本人駐在員の家族で、米国住民の声と区別しています。2018年の家族写真はジェリー・バローさん提供。同誌の人物説明と照合し、Internet Archiveの画像保存版から取得したものを掲載しています。2026年5月16日はアーカイブの保存日で、撮影日ではありません。

[2] キッコーマン「Kikkoman Holds Grand Opening Ceremony for Third U.S. Plant」、2026年9月18日。ウォルワース工場の出荷開始と従業員数は会社公表値。法人設立の1972年と工場出荷開始の1973年を区別しています。

[3] キッコーマン「Kikkoman Holds Grand Opening Events for New Jefferson Plant」、2026年10月23日。9月18日の開業式の事後報告。企業による公式発表であり、参加者全員に聞いた評価調査ではありません。

[4] FOX6 News Milwaukee「Kikkoman soy sauce; Wisconsin-made for 50 years」、2023年6月9日。公式YouTube動画を埋め込んでいます。2026年の新工場を撮影した映像ではありません。

[5] Eater「The Kikkoman Soy Sauce Bottle Is Priceless」、Tiffany Leigh執筆、2023年12月8日。アンドリューさんはアイオワ州の家族の店で育った人として紹介され、同記事の工場写真はKikkoman Foods提供と表記されています。

[6] r/wisconsin:工場への投資計画についてのスレッド、2024年5月13日。掲載3件の原文・日付は検索索引の複数結果で照合。元ページ本文の直接取得には制限があり、個別URL・返信関係は確定していません。意味が独立して通じる抜粋として掲載し、勤務歴・国籍を推測していません。

[7] r/Costco「Lifetime supply of soy sauce (Kikkoman)」、2024年1月17日公開。本文を取得して照合した、料理での使い方や感想を掲載。個別投稿日が未確定のコメントは、情報アイコン内でスレッド公開日と区別しています。「数か月で使い切りそう」は投稿者の見込みで、消費量の実測ではありません。工場見学への言及も希望であり、現在の見学受付を案内するものではありません。

[8] r/madisonwi:2024年の工場拡張計画についてのスレッド。掲載2件は元スレッド本文・個別コメントページを取得し、日付は検索索引の2024年4月24日・25日の表記と照合。製造地についての驚きや就職希望は投稿者自身の受け止め方であり、本人が食べた全商品の製造地や実際の応募を確認したものではありません。