海外「学生の自分には本当にありがたい」日本が支えたホーチミンのメトロ、通学・通勤の足に
電車を降りて、残り500メートルはシェアサイクルで会社へ。ホーチミンの会社員、チャン・クオック・ダイさん(29)は、メトロと自転車を組み合わせて通勤しています。駅から先にも自分に合う移動手段を見つけた一人です。[3]
そのメトロ1号線は、日本の円借款で整備され、2024年12月22日に開業しました。中心部のベンタインと北東側のスオイティエンを結ぶ約20キロの路線です。車両は日本で製造され、建設は日本とベトナムの企業が担いました。[1]
開業から2年近くがたつ2026年、現地紙が伝えているのは、毎日の通学や通勤に列車を取り入れた人たちの姿です。運営会社の集計では、9月7〜13日の乗車は1日平均約7万1,000回。大学へ向かう学生や会社員は、何が便利になったと感じているのでしょうか。取材での言葉と、ネットに寄せられた利用体験を追いました。[2]
動画の公開日・出典
現地メディアが伝えた声
2026年9月、現地紙Tuổi Trẻは、列車で学校へ向かう学生たちを取材しています。ベンタイン駅からメトロに乗るブイ・ザー・カンさんも、その一人。自宅が学校から遠く、大学までの移動にかかる時間が大きく減ったと話していました。

引用した写真の詳細
ブイ・ザー・カンさんの取材情報
電車は速くて涼しいし、渋滞の心配もいりません。(和訳・抜粋)
学校へ行く交通手段なら、毎月の出費も気になります。同じ記事に登場する大学2年生のファン・フイン・アイ・ヴィーさんは、学生定期なら月15万ドンで何度でも乗れる点を挙げていました。通常の定期の半額で、学生にとって利用しやすいと感じているそうです。[2]

引用した写真の詳細
ファン・フイン・アイ・ヴィーさん(Phan Huỳnh Ái Vi)。学生定期への評価は元記事の写真説明によるもので、本人のセリフとしては引用していない。
Tuổi Trẻ / THUẬN VĂN
の記事掲載写真
元の取材記事を開く10月17日には、送電系統の停電がメトロにも影響しました。Tuổi Trẻによると、午前7時4分から7時57分まで運休し、その後、運行を再開しています。[7]
会社へ向かう人には、駅までの足ができたことで列車を使いやすくなった例もあります。VietNamNetの10月27日付の記事に登場するグエン・ティ・ミン・アインさん(34)は、自宅近くから駅へ行くバスが使えるようになり、通勤のバイクを家に置くようになりました。朝はバスでビンタイ交差点の駅へ向かい、そこからメトロで中心部へ出ると話しています。
グエン・ティ・ミン・アインさんの取材情報
排ガスやほこりを気にしなくていいんです。(和訳・抜粋)
電車を降りた後の移動を工夫しているのが、冒頭のダイさんです。ベンタイン駅を出た後は自転車を借り、職場までの短い距離を走ります。
チャン・クオック・ダイさんの取材情報
自由に動けますし、ちょっとした運動にもなります。(和訳・抜粋)
バスで駅へ行く人もいれば、列車を降りてから自転車に乗る人もいる。メトロの前後をどうつなぐかで、毎日の移動に使える範囲も変わってきます。運営側もバスや自転車などとの接続を進める一方、駅へ行きにくい地域が残っていると説明しています。[3]
海外ネットの反応
まずは、開業から間もない2024年12月のRedditへの投稿です。文中の「Grab」は、現地で使われている配車サービスです。以下、和訳・一部抜粋で紹介します。
もう3回乗ったよ。大学へ行くときは、Grabの代わりに使うつもりだ。
コメントの投稿日・出典
うらやましい。自分が電車で通勤できるようになるには、4号線を待たなきゃいけないんだ。渋滞の中を1時間かけて行くより、ずっといいのにな。
コメントの投稿日・出典
続く2025年11月の投稿は、公共交通を話題にするr/transitから。
毎日使ってるよ。清潔で気持ちよく乗れるし、毎日渋滞にはまるのと比べたら、ずっと楽。ただ、ラッシュ時の本数は気になる。すごく混んでいて、何本か見送らなきゃいけないこともあるんだ。(抜粋)
コメントの投稿日・出典
とても気に入ったけど、旅行者にとっては、まだそこまで便利ではないかな。よかったのは、ほかでよくある専用の決済方式にせず、最初からタッチ決済が使えたこと。
コメントの投稿日・出典
手持ちのカードで、そのまま乗って払えるだけで、公共交通はずっと利用しやすくなるよ。(抜粋)
コメントの投稿日・出典
続いて、2026年9月に乗車体験を尋ねたr/hochiminhcityのスレッドです。
乗ったことがあるから、良いところも気になるところもあるよ。清潔で速くて、かなり安い。仕事で使っているけど、座席も十分あるし、冷房もよく効く。ただ、地下駅と違って、高架の駅は暑くなりがちなんだ。扇風機もなくて、冷房のある地下駅と比べると暑く感じる。(抜粋)
コメントの投稿日・出典
清潔で速い! 惜しいのは、まだ路線が増えていないこと。沿線へ行くならすごく便利だけど、そうでなければGrabの方が速いかもしれないね。
コメントの投稿日・出典
切符売り場は、もう少し改善できそう。ラッシュ時だと、待つ列が大変なことになるんだ。
コメントの投稿日・出典
大勢が使う公共トイレまで、清潔に保たれているのには、とても感心した。
コメントの投稿日・出典
自分のような学生には、本当にありがたいよ。政府も路線を広げようとしているし、環境への負担を減らすためにも、早く進んでほしい。
コメントの投稿日・出典
2025年1月と、2025年12月から2026年1月にかけて訪れたけど、どちらもメトロは清潔で、時間どおりに来た。とても満足だったよ。
コメントの投稿日・出典
3月にホーチミンを訪れたとき、何度も使ったよ。使い方はとても分かりやすい。混むこともあるけど、全体としては速くて、気持ちよく乗れた。
コメントの投稿日・出典
管理人の見方
日本の車両が街を走る。その先に、毎日どこへ行くために乗るのかが見えてきたのが、今回の取材と投稿で面白かったところです。大学に通う人、駅から会社まで自転車で移動する人。線路の外側にある暮らしまでたどると、約20キロの1路線が持つ意味も分かりやすくなります。
バスや自転車との接続、学生定期も、列車を日常に使う支えになっています。手持ちのカードで乗れるという声にも、駅に着いてから迷わず使えることの大切さを感じました。日本の資金や技術と、現地で運行やサービスを担う人たちの仕事。その両方が、毎日の便利さにつながっていると感じました。
「自分の通勤にも使えたら」という返信には、便利さが沿線に限られるもどかしさがあります。路線がつながったとき、その人が実際の乗客になるのか。次に追ってみたいのは、そんな生活の変化です。
ひとこと英語:on time
on time は「時間どおりに」。採用した投稿の came on time は、メトロが時間どおりに来たという意味です。[6]
出典・記事について
確認・執筆日:2026年10月30日。現地報道は2026年9〜10月、ネットの投稿は2024年12月と2026年9月です。埋め込んだ動画は2024年12月の開業時の映像です。居住地や利用歴は投稿者の自己申告で、ネットの投稿は市民全体を代表する調査ではありません。各コメントの投稿日・元の投稿は、末尾の情報アイコンから確認できます。
[1] JICA、2024年12月25日。日本の円借款によるホーチミンメトロ1号線の開業発表。日本での車両製造、日越企業による共同施工、運営能力の支援を確認。
[2] THUẬN VĂN・HỮU DUY / Tuổi Trẻ、2026年9月16日。メトロで通学する学生の取材。取材日は本文に9月15日と記載。本文の写真は同記事から、各人の説明・発言に対応するものを引用。関連する学生取材の動画(ベトナム語)も同日公開。カンさんは記事にある直接話法を和訳し、アイ・ヴィーさんの評価は記者の説明として紹介。
[3] Tuan Kiet / VietNamNet、2026年10月27日。メトロと接続交通を組み合わせる利用者の取材。ミン・アインさんとダイさんの発言は記事の直接引用を和訳・抜粋。
[4] South China Morning Post、2024年12月23日。ホーチミンメトロ開業の報道動画。同局ページの公式埋め込み先を使用。開業は12月22日で、動画の公開日とは別。
[5] Reddit / r/VietNam、2024年12月28日の投稿。開業直後のスレッド「The Metro」。大学へ行く際の利用予定と、それへの返信を紹介。
[6] Reddit / r/hochiminhcity。ホーチミンメトロの乗車体験を尋ねるスレッド。日付を照合できた投稿は2026年9月21〜23日。公共トイレの感想は個別日付が未確定で、スレッド公開日と区別しています。訪問者と、学生・仕事で使っているという投稿者の体験を区別して紹介。
[7] Tuổi Trẻ、2026年10月18日。10月17日の停電と運行再開について。停電は送電系統で起き、メトロ以外の地域にも影響したという運営側の説明。車両自体の故障とは報じられていない。
[8] Reddit / r/transit、2025年11月8日。ホーチミンメトロに乗った人のスレッド。採用3件は本文・個別ページを取得し、日付を検索索引と照合。カード決済は当時の利用体験で、現在の全カードの対応状況の案内ではありません。元投稿の人口推計や、別の返信にある券売システムの製造元・導入経緯の推測は採用していません。